今回の「桂伸三独演会」には、多くの方々が足を運んでいただき、満席に近い会場となりました。桂伸三さんは落語芸術協会の二つ目で結成された注目のユニット「成金」のメンバーの一員で、来年の5月に真打昇進が決定している注目株の落語家さんです。

 実は4年前にもこの無量寺に来ていただいたことがあり、当時の懐かしい思い出も語りつつ愉快な小噺を二つも御披露。冷房の効いた会場の雰囲気をあったかくさせました。

 さて、一席目に披露されたのは「蒟蒻問答」。こんにゃく屋の六兵衛の紹介で空き寺の和尚となった八五郎。ある日永平寺の修行僧が禅問答から申し込まれ、だらしない八五郎の代わりに六兵衛が問答を受けて立つという噺。体を大きく動かす問答にお客様は釘付け。最後の結末には思わずため息の出てしまうように感心させられたようで、笑いに包まれました。

 二席目は「七段目」。歌舞伎に凝った若旦那の孝太郎。大旦那から小言をくらうも反省なし。二階に追いやられるも一人で歌舞伎の世界に没頭する始末。小僧の定吉が止めに行くために二階へ上がるが…。歌舞伎の台詞が所々に出てきて、お客様も歌舞伎の世界に入り込んでいた様子。会場を魅了したところで一旦仲入り。

 再登壇され、最後の噺は大ネタ「文七元結」を披露。博打にハマって借金まみれの左官の長兵衛。家の金も使い果たし、娘のお久が吉原の店の女将に自分の身を売りたいと相談し女将は長兵衛に話をつける。長兵衛は娘を預かる代わりに五十両を貸してもらい急いで家に帰る。しかし途中で橋の下に身投げしようとしている男を見つけて…。落語の中でも難しいと言われている噺ですが、その人情深い登場人物たちの情景を見事に表現し、お客様を最後まで引き込んでいきました。お客様の中には最後の大団円な結末に安堵の声を漏らす方もおり、拍手喝采で締めくくりました。

 そのあと、お客様の掛け声を受けながら伸三さんお得意の「奴さん」をご披露。額に汗を滲ませながら、華やかに踊っておりました。

 質問コーナーでは、「真打になるには?」や「どうやって噺を覚えてる?」という質問から「あなたは落伍者?」という質問まで、ユーモアを交えて答えておりました。

 またその他にも、伸三さん直筆のサイン色紙を巡っての抽選会や、我々久留米落語長屋の大家代行(次期大家)、大家代行の代行(?)の紹介などもあり、大いに盛り上がった会でございました。