今回の「立川吉笑独演会」は、開場早々からの大入り満員となり熱気あふれる独演会となりました。
吉笑さんは、久留米での寄席は初登場ということではあっても、NHK「落語ディーパー」の出演などで知られていること、さらに、二つ目さんとしては初の立川流の登場ということで、お客さんにはまさに興味津々の寄席ということの表れだったのでしょう。

まず1席目は、まくらの中で「立川流一門」の立ち位置などを軽くふれたあとに、昨年、ご自身が酒に酔って足を骨折したという大事件を、病院の情報選びや治療経過を本音と想像を交えて笑いを巻き起こし、会場を速攻で一体化する手際の良さで圧倒するや否や、この事件以来、「禁酒」しているということから古典落語の『親子酒』の一席へと噺を運びました。
ともすれば、現代感覚のまくらと古典落語とのつながりに落差を感じることもままあるのだが、吉笑さんは全くそれを感じさせない1席目ですごい。

続いて、2席目は一転して新作落語の『明晰夢』(立川春吾作)へ。
夢うつつの中の会話が、際限なく繰り返されるというネタで、古典ネタの「のぺらぼう」を彷彿とさせる筋書ながらも、妙に現実感があり引き込まれる。
この時のまくらが、極端に安い引っ越し業者を選んだら、数年前に師匠の談志もこの業者を選んでいたというめぐりあいを述べ、ケチで有名な師匠とその孫弟子の節約生活が偶然に繰り返されるという面白さを振っていて、ネタとの組み合わせがすごくおもしろい!
 
中入り後、3席目は上方弁でくり返される『一人相撲』。
新作落語とのことだが、時代背景は江戸(?)の頃であろう。        
ある上方の大旦那が贔屓の関取が、江戸の本場所で全勝し優勝をかけた一戦を戦うことになった。その取り組みの模様を早く知りたいために、15人位の使用人を送り込み、取り組みの模様を15人が時間差をもって上方へ報告に帰る・・という目論みで次々と報告に帰ってくる。その報告により立ち合い前の緊張感が生々しく伝わってくるが・・・じれったい!

お客様も「粋で、活きのよい噺で素晴らしいね。」と大満足の弁でした。